つまりわたしにはまずその分類がわからなかった。
どうして分けたがるのか、その真意が図りかねたのだ。何が違うのかと。
そもそも分けなくてもいいのにとおもっていて、でもそんなことを割とよく言いがち言われがちな方の話を聞いてみようとおもってこの動画を見てみた。メディアと社会についての若い世代の議論を聞いてみようとおもったからだ。同世代のお二人の会話でもあるので、非常にノリノリであるなというのが第一印象だった。
そしてなるほどと確信するに至った。最初のわたしの疑問は、ただのジェネレーションギャップにすぎないのだった。オールドメディアとかニューメディアという言葉を自らいうオールドな人はいないということと同じである。メディアという名前を借りた代理論戦みたいなところがある。結局のところわたしはそう思うに至った。今、国民民主党がなぜか少し人気だけど、その党のいちいちの主張もこういう問題に似たところがある。
若い人たちの発言の場があることによって、「老害」も含むことで発言力の弱くなりがちな「オールドメディア」に対して、これは非常に残念なのだけど「排除的」な思考で対抗する、そう言ったアティチュードに裏付けされた分断・批判なのだ。
なぜ残念だと言ったのかというと、そうすることはいちいちの文化に対しての敬意を感じないからである。つまりそれは変革的であることよりもむしろ排除的である思考を指していっているのだけど、その不戦勝じゃなくて不戦敗をしながら捨て台詞を言うような姿勢がとても残念なのだ。「覚えてろよ」的な話である。そう、昔からある視点である。だから反抗期みたいなもんだと思っているのだ。
問題のある対象にビビって近づけない怖がりが、遠く離れて言ってる「おぼえてろよ」はちょっとカッコ悪い。
きっとそれは自分自身の歴史が浅いことだけでなく、きっと教育システムの中で人類の歴史がいかに今に繋がるのか、そこに向き合うのに必要な一個人としての姿勢を根付かせていないからではないか。倫理的な思考がきちんと学問の習得の過程で培われていないのかもしれない。そんな基礎教育の未熟さもあって、記号的に歴史を学ぶのと、そこに「今に繋がる人類の叡智である歴史を知っていく」という概念が加わるのでは全く違う。わたしはそもそも一人の人としての深みがそうやって徐々につくられていくのではないかと思っている。
さて、わたしがどうしてこう考えるに至ったか、と言うのはその若手の方達の話の中で繰り返されるテキストコンテンツの終わりみたいな議論を知ったことによる。
簡単に言えば、「文章を読まれなくなったことでこれからは動画の時代なのだ」と言ってしまうこと自体の持つ”危険性”に彼らは気づいていない気がしたからだった。
「文章を読まれない時代だから動画ばかりにする」と言う発想はあまりに薄っぺらくつまらない。消費者を馬鹿にしているとも言える。人を惹きつけるテキストを書けないからそうしてると言われても仕方ない。もしかしたら既存のメディア以上につまらない発想なのだ。そのような薄さではただ消費されるだけのものとなる。ただの記号的な刺激にしかならない。
いろんな既存のデータにより色々と発見されるマイナスな出来事（それを彼らはコスパが悪いと言う表現で済まそうとしている）があっても、必ずそこに挑戦しない。批判はするがそれ以上のアクションとしては絶対にそこのなかには入らない。改革してもなのか改革そのものなのかわからないが、そういう行動は「コスパが悪い」からだ。
しかし、テキストを切り捨てるということは文化の大半を置き換えることを意味する。コスパが理由で、というには失うものがあまりにも多い。
しかし、彼らがどれほど違う土俵を用意しても社会はたった一つしかないのだ。知的財産も歴史も未来も一つなのだ。そこにかかるものをそんなに簡単に切り捨てる考えにゾッとした。だいたい思考として排除すべきものはこの世にはそれほど多くないという前提でないと、いかに論理的にものを考えてもそれの意味すらなくなってしまうではないか。
それをどう考えるか、そもそも自分たちのコンテンツを残していくものとして制作していってるのか。インパクトだけでは結局説得力を持たなくなる。人間は刺激に弱いがすぐに慣れてしまうからだ。だからなのか、事実でもないデマが広がったりしやすいのもニューメディアの弱さなのだ。嘘には信憑性がなくてもインパクトが残るからだ。
そうなると、いくらブツクサいっても、そもそも前提として彼らはその批判しているものを受け入れていることになると彼らはわかって言っているのだろうか。言っておくがそれは多様性という理由でどうにかなる話ではない。アンチ・オールドメディアを前提においている時点で新しくもなんともないのだ。オールドメディアのおかげでネットメディアが生まれているし、そこを享受している人たちがそのことを受容していないだけである。
でも、社会的に消費者側は本当か嘘かわからん話はネットで見ることを繰り返しているうちに、ネットの情報自体の信用がどんどん落ちてしまう。その取り扱いは世代によるのかもしれないが、だからこそ危険とも言えてしまうのだ。それしか知らない世代も多い今、情報の選択を間違うとずっと間違い続けるものを提示するアルゴリズムも相まって非常に危険でもあるのだ。
もちろん無数の配信者がいる中で、本当のことばかりを配信する人も多いだろうしその逆もある。そういう先（それほど先でもなく今すでに起こっている現象でもある）が見えるだけに、それがとても残念なのだ。
そう言った言論の渦は全て食べ散らかしてもらって何も残らなくていいんです、というなら、そのニューメディアの存在意義は一体何なのか。ただの発表の場がほしいだけでもないだろうし。
結果的にそれは外野からの批判ということなので、それ自体別に新しくもない。芸人で目の出なかった人が俳優に転じて笑いがつまらないとコメントするようなものである。楽屋でだけ通じる下品な表現をするようなものである。
現にどっちのメディアにも出ている人の姿勢を見てみればいい。テレビではいい加減なことは言えないとしながらネットでは怪しいことを言っていいかのようなコメントをしているではないか。
わたしはもっとそうではないしっかりと自立したメディアになっていたりそれを確立しようとしているのかとおもっていたのでちょっと残念だった。
その残念さは、土俵を変えた時点で説得力を失っているのだということに尽きてしまうので、もうちょっと期待外れだった。
結局、こういうことをやっているうちは本当のオルタナになれないのだ。サブにもなれていない。強いて言えば裏コンテンツみたいなものではないか。だからただ勝手に規制が働かないとおもっていろんな法律違反をするツールに使われたりしているのが現状でもあるしそういう消費の仕方をしている人たちも多いだろう。
だからそう言ったやり方ではない全く新しい視点を改めて彼らには見せて欲しいなあとおもった。既存のメディアへのアンチやルサンチマンばかりでないクリエイティブなものを。本当に改革的な論点を見せて欲しいなとおもった。そしてやたらときっと避けたがる闘いが必要な場面では闘わないといけない時もある。その時にはオールドだニューだとか関係ない訴求力のあるメッセージを打ち出せるものだと期待もしている。そうやってオールドメディア自体の変革なくしてニューメディアの確立はあり得ない現状では、もっと欲を出してほしいと思った。遠吠えにしかならないというのはあまりに勿体無いと思うのだ。
それこそが全く新しい時代を感じ、才能を知り、全世代にとっても有効な価値観を作ることになっていくと思うからだ。若い人の中にある奇抜すぎる発想力に人類は度々出会っては驚いて変わってきた歴史があるけれど、そういう変換点こそ今望まれているのだとおもっている。
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